カテゴリ ‘こぢょっこのこと’
摩利支天開堂供養
お寺からほど近い山の斜面に、瀬崎さんの講中でお祀りしている摩利支天様があります。
10人くらいしか入れない小さなお堂ですが、講中の方々で代々、信仰し守り伝えてきたそうです。
そのお堂が約200年ぶりに建て直され、このたび開堂のお経となりました。
摩利支天は原名をマリーチといい、「威光・陽炎・蜃気楼」などを神格化したもので、
古代インドの神が仏教にとり入れられた守護神です。
この天を祈る者は同じようにその徳を得て、
人から姿を見られず、とらえられず、害されず、騙されず、縛られず、
財物をとられることなく、罰せられることも、怨みを果たしに来ても姿を見つけられない。
自らの姿形を隠し、相手に見られることなく、どんな障害からも逃れ利益を施して下さる
というので、主に武士階級の守本尊として厚く信仰を集めてきました。
このお堂では年に一度、毎年十二月に囲炉裏に薪をくべて火をおこし、
摩利支天様を奉じるお祭りが講中の方により行われています。
先祖代々お祀りしてきたものを大切に受け継ぎ、共に手を合わせ、
次の世代にも守り伝えていく皆さまの姿に心を打たれます。
新しい御宝前では、これからも摩利支天様の御加護のもと、
講中各家が子々孫々まで彌栄ていくことを心から祈らせていただきました。
心ひとつ 東日本大震災復興祈念慰霊法要
本日は、日蓮宗岡山県修法師会主催による
「心ひとつ 東日本大震災復興祈念慰霊法要」へ
檀家さん数名と共に参加させていただきました。
12時30分に開式ということで、本住寺では10時に集合して、
半端な時間となりますが、軽いお食事を摂っていただいてから出発することにしました。
住職も合わせた7名が、檀家さんの運転する車に乗せていただきました。
会場の岡山市民会館は、大勢の檀信徒の皆さまでとても賑わっています。
まずは、立川志遊師匠の落語です。
日蓮聖人一代記からの一人語りと、左甚五郎の落語の二部構成で、面白かったです。
約20分の休憩をはさんだ後は、岩手県から来られた西山文生上人の講演です。
西山上人は岩手県遠野市の方で、東日本大震災の復興支援に大変尽力されている方です。
震災の様子や現状についてお話し下さったのですが、テレビ等のマスメディアから伝わるものと違い、
言葉の一つひとつがとても重く、胸をつかれ、思わず涙がこぼれました。
講演の後の法要は、会場の檀信徒も参加しての慰霊法要でした。
一緒にお経をあげるのでお経本を持って来てください、との通達があったのですが、
実際には会場がとても暗く、文字を読める状態ではなかった!のがとても残念でした。
壇上に上がられた大勢のお上人方による修法はとても迫力があり、厳かな気持ちになりました。
東日本大震災から早くも1年3ヵ月が経ちました。
大震災を忘れず、これからも出来るだけの支援を続けて行くとともに、
明日は我が身と災害に備え、今日という日を大切に生きて行かなければ、と思いました。
法要が終わりお寺に帰ってきてから、檀家さんが用意して下さったコーヒーを飲み、
今日の感想などを話しながら、ほっと一息です。
ご参加下さいました皆さま、今日は本当にお疲れさまでした。
また、何かの機会がございましたらお声を掛けさせていただきますので、
ぜひご参加下さいませ!
ツバキ油しぼりたい!?
「こぢょっこでら」こと本住寺には、見上げるほど大きな薮椿(やぶつばき)の木が数本あります。
その大きな幹に沢山の花をつけ、今年も見頃を迎えました。
薮椿は学名「カメリアジャポニカ」といい、その名の通り日本原産で、古くから日本に自生していて
『古事記』や『日本書紀』など、古い文献にも出ているのだとか。
ポトリ…と花が丸ごと落ちる様子が首の落ちるさまを連想させるということで、
お見舞いに持って行くには不向きな花ですが、観賞用には大変好まれ、
茶道では冬場の炉の季節によく用いられるため『茶花の女王』とも呼ばれるそうです。
決して珍しくもなんともない花ですが、鮮やかな赤と慎ましやかに咲く姿は見る人の心を癒してくれます。
花が咲いている期間も長く、冬から春にかけて楽しませてくれるのもいいですね。
また、椿は花が綺麗なだけでなく、種子には良質な油が含まれていて、あの『ツバキ油』が搾られます。
ツバキ油は古くから食用や頭髪ケアに使われ、酸化・劣化しにくい油だそうです。
頭髪や肌のケアは勿論のこと、食用として使用した場合、
血液中の善玉コレステロールを減少させずに悪玉コレステロールを減らす効果があるといわれ、
その食味性にも優れ、特に揚げ物がサクッとした軽い仕上がりになるそうです。
食べられると知って、住職夫妻のテンションは俄然上がって来ました!
こんなに沢山薮椿があるので、もしかして種を拾い集めたら『こぢょっこでら産ツバキ油』が搾れるのかも!!
そんな軽い思いつきから始まって、昨年の今頃、
『こぢょっこでら特別プロジェクト・ツバキ油しぼり隊』
が密かに動き出したのです。
さて、花が終わり、季節は夏を越えて秋に…
10月半ば頃、熟れた実が弾けて種が落ちてきました。
椿の木の根元に落ちてきた種を一つ一つ拾い集めていきます。
強い風が吹いた後などは特にチャンスです!
拾った種は土がついて汚れたりしているので、
ちゃんと洗って天日に干し、しっかりと乾かしていきました。
これを繰り返すこと数回。
ひたすら拾い集めた種は、なんと!11キロを超えました。
こうして拾い集めてみると、結構あるものですね!
そして、ツバキ油を搾る手順を調べてみたのですが…
①収穫して天日干しで乾燥
↓
②種を細かく砕いて蒸す
↓
③袋などに入れ圧搾する
↓
④火にかけて水分を蒸発させる
簡単にまとめるとこのような手順となり、種1キロあたりから100ccほどの油が出来るらしい、とのことでした。
自分たちで搾油できるかどうかも含め、色々と調べ検討してみたのですが、
ここはやはり専門の職人さんの手を借りることが最善だと判断しました。
恐る恐る、とある製油所に電話をかけて問い合わせてみたところ、
快く搾油を引き受けてくださいました。
ウキウキした気持ちで薮椿の種を段ボール箱に詰めて、
早速送らせていただきました。
そして待つこと数週間、待ちに待った待望のツバキ油が届きました♪
12キロ程の種子から約一升と、思っていた以上のツバキ油がとれました。
写真では伝わりにくいかもしれませんが、本当に綺麗な黄金色なんです!
蓋を開けてそっと匂いを嗅いでみると、ナッツ類のような香ばしくて良い匂いがします。
ツバキ油を搾った搾りかすも全部送り返していただきました。
この搾りかすは肥料や害虫予防、また燃料などにも使えるそうです。
これだけの量があれば、みんなで楽しむことができそうです。
天ぷらにしようか、串揚げにしようか、それとも…
お腹の虫と相談しながら想像はどんどん膨らみます。
色々と考えた結果、正月にお供えしたお餅を揚げてあられを作ってみよう!ということになりました。
サクサクのあられを作るポイントはよく乾燥させることだと聞いたので、しっかりと乾燥させ細かく砕いていきました。
さぁ、あとはこのお餅のかけらを『こぢょっこ寺産ツバキ油』で揚げるだけです。
なんだかワクワクしますね!
さて、このこぢょっこ寺産のツバキ油と、乾燥させて小さく砕いた御宝前の鏡餅 ですが 、
春のお彼岸法要の後、あられにしてお参りに来られた皆さまと一緒に味わいたいと思っております!
初めての試みなので、どのような感じになるのかわかりませんが、今からとても楽しみです。
皆さま、お彼岸の中日ということでお忙しいとは存じますが、是非こぢょっこ寺にお越しくださいませ!
本住寺 春の彼岸会
午前10時~